先週、情けないことに右足首を捻挫した。
先日、足を引きずりながら、
たまたま仕事で立ち寄ったところが、
中学の同級生Kが営む蕎麦屋に近いことを思い出して、
昼前ではあったが、行ってみた。
まだ、お客さんはおらず、私がその日、最初の客だった。
店の奥で、蕎麦を打っていたKが私を見つけると、
「お、シュートば、失敗したとや?」と声をかけてきた。
Kと私は、中学でバスケットボール部で、
細身だったが、ケンカが強い男だった。
今は、東京で蕎麦屋を営んでいることもあり、
首都圏近郊在住、もしくは出張で上京してくる
同級生、先輩、後輩たちが集まることも多いらしく、
Kと話しをしていると、ぽんぽんと懐かしい名前が出てくる。
それぞれの近況だけではなくて、当時のこと、
親兄弟のこともよく覚えているので、
Kの打った蕎麦をすすりながら、
どうして、そんなに覚えているのか?と
おもわず質問してしまった。
Kは、笑いながら答えてくれた。
中学卒業と同時に実家が蕎麦屋だったこともあり、
東京に修行に出たが、最初の数年は、
住み込みで、部屋には、テレビもラジオもなく、
遊びに出掛けるような時間もお金もなかった。
上京するときに持って来たのは、卒業アルバムと文集くらいで、
空いた時間に、ただただ卒業アルバムを見ていたら、
名前と顔を覚えて、どんなやつだったか、
だれと仲が良かったか、どんな親兄弟がいたか、
などを思い出すのが、楽しみだった、とのことだった。
だから、十数年ぶり、二十数年ぶりに会っても
卒業アルバムの写真の面影から、名前が出てくる、とのことだった。
私は、大学入学で上京して、就職、結婚と東京で
熊本の友人たちとはすっかり疎遠になってしまっている。
また、Kの蕎麦屋に行ってみようと思う。
そこで、だれかと再会できなくても、
Kと僅かな時間でも言葉を交わすことが大事なような気がした。
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