2011年8月28日日曜日

右足首と蕎麦と同級生

先週、情けないことに右足首を捻挫した。 

先日、足を引きずりながら、 
たまたま仕事で立ち寄ったところが、 
中学の同級生Kが営む蕎麦屋に近いことを思い出して、 
昼前ではあったが、行ってみた。 

まだ、お客さんはおらず、私がその日、最初の客だった。 
店の奥で、蕎麦を打っていたKが私を見つけると、 
「お、シュートば、失敗したとや?」と声をかけてきた。 
Kと私は、中学でバスケットボール部で、 
細身だったが、ケンカが強い男だった。 

今は、東京で蕎麦屋を営んでいることもあり、 
首都圏近郊在住、もしくは出張で上京してくる 
同級生、先輩、後輩たちが集まることも多いらしく、 
Kと話しをしていると、ぽんぽんと懐かしい名前が出てくる。 

それぞれの近況だけではなくて、当時のこと、 
親兄弟のこともよく覚えているので、 
Kの打った蕎麦をすすりながら、 
どうして、そんなに覚えているのか?と 
おもわず質問してしまった。 

Kは、笑いながら答えてくれた。 
中学卒業と同時に実家が蕎麦屋だったこともあり、 
東京に修行に出たが、最初の数年は、 
住み込みで、部屋には、テレビもラジオもなく、 
遊びに出掛けるような時間もお金もなかった。 
上京するときに持って来たのは、卒業アルバムと文集くらいで、 
空いた時間に、ただただ卒業アルバムを見ていたら、 
名前と顔を覚えて、どんなやつだったか、 
だれと仲が良かったか、どんな親兄弟がいたか、 
などを思い出すのが、楽しみだった、とのことだった。 
だから、十数年ぶり、二十数年ぶりに会っても 
卒業アルバムの写真の面影から、名前が出てくる、とのことだった。 

私は、大学入学で上京して、就職、結婚と東京で 
熊本の友人たちとはすっかり疎遠になってしまっている。 
また、Kの蕎麦屋に行ってみようと思う。 
そこで、だれかと再会できなくても、 
Kと僅かな時間でも言葉を交わすことが大事なような気がした。

0 件のコメント: