2009年6月27日土曜日

「音楽の聴き方」

仕事の資料として手にとった本

「西洋音楽史-「クラシック」の黄昏-」の
著者、岡田暁生さんの新作「音楽の聴き方」。

以下、日販MARCより

>音楽の聴き方は自由だ。
>だが、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くことはできない。
>その仕組みを解析し、聴き方のヒントを伝授。
>自分の聴き方に自覚的になり、もっと楽しく音楽とつきあえるようになる1冊。

ずーっと、自分はなんで音楽を聴いているのか、
しかも、たかが知れているが、時間もお金もかけて、
そんな疑問が、ちょっとだけ解けた気がする。

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私は、岡田先生の著書は
「西洋音楽史」のみの拝読で、甚だ勉強不足である。
しかし、「通史」として「西洋音楽」を
捉えるという視点にとても興奮した。

私は、今の巨大なアメリカ文化の影響下にある
ポップミュージック、ブルース、ロック、ジャズ、ポップスを
主に聴いている1970年生まれだ。

デジタル技術によって生み出される
IDM(ntelligent dance music)、
エレクトロニカ、フォークトロニカと呼ばれる分野が
面白いと思って、聴いている。(それだけではないが)

パソコンのスペック、ソフトウェアの飛躍的な向上、
また、インターネットによって、
楽器音、人の肉声、環境音、デジタルノイズも等価な音素材として
デジタルのファイルになり、それを構成して作られるコンテンツの面白さに
魅かれながら、その音の響きが、ライブで再現される時には、
生身の人間が奏でる音に一番魅かれる。
楽器から発せられる音だけでなく、
その環境での響きが、どうしようもなく好きなのだ。

いわゆるクラシック音楽は、
手元に200枚前後のCDがあるだけで、
その内訳も、ブラームスの4つの交響曲だけ、
10の指揮者とオーケストラという偏り。

ジャズも、 マイルズ、エヴァンス、コルトレン、モンクといった
モダンジャズの巨人たちが別格としてあって、
スタンダードナンバーといわれるものを
プレーヤー別、編成別、年代別に聴くという、ぬるいファン。

結局、たまたま耳にして、好きになった楽曲のみを
演奏者、指揮者、録音年代違いで
聴き比べてみて、自分にとっての「この一枚」に辿り着いたら
そればかりを聴く、という浅はかな聴き方しかできないまま。

そのたまたま出会ったクラシック音楽も
子供の頃に見ていたNHK「音楽の広場」(芥川也寸志さんの司会)、
映画音楽のサウンドトラック、
NHK-FM吉田秀和さんの「名曲の楽しみ」というのがほとんどだ。

自分にとって新しい領域に関わる時には
まず、概要が把握出来そうな資料を探して、
読むというところからはじまる。

最初のガイドとなる本、人物が面白い、というのは
その後の興味への持続に関わってくるので、
の語り口は、ドキドキしながら読み進むことができた。

「音楽の聴き方」も、「型」を知り、
自分の感じたことを、自分のことばにしてみれば、世界が広がる、
という、「型より入りて、型より出よ」である。

これは、音楽だけではない。仕事も遊びも生き方もそうだろう。
憧れでも、手本でも、いい師匠でもいい、
目指すものの型を学び、自らの言葉で、
他者とコミュニケーションする。
きっと、それが「楽しい」のだな、と。

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